ボクの瞳に映る一億の友達
エマの眉間のシワは取れなかったが、取り合えず解放してくれた。
まだ小言を言いたそうな顔をしながらもそれ以上は何も無く、自分の自転車に豪快に跨がると、じゃ。と短い挨拶をしてエマは帰って行った。
「ハァ…」
彼女はいい人だ。
どんな人にも隔て無く声を掛けてくれる。
だからなのかな…エマと話すと凄く疲れる。
「て…そんな事思っちゃいけないのに…」
唯一の友達なのに…。
重い足取りで町へ向かうが、食欲なんて無い。
だけど家に居場所も無い。
こんな風に、これからずっと生きて行くのかな。
ただ、心を無にして…。
少年はとぼとぼ町に向かって歩いて行く。
そんな後ろ姿を見詰める人影がある事など、気付きもしないで。