あきらめられない夢に
「あれ、今、確か宮ノ沢って言ったよな」


慌てて前を向き、もう一度倉庫の出入り口を見る。

当たり前だが、そこにはもう彼女はいなかった。

聞き間違いではない。

紛れもなく彼女は僕のことを落ちこぼれではなく、宮ノ沢と言って倉庫を出た。



さっきまで愚痴をこぼしていた人たちは、今度は何も言わずに黙々と積み込みをしている。

それに対しての特別な反応はなく、何事も無かったかのようだった。


(やっぱり、聞き間違いだったのかな)


首を捻りながらも、みんなよりも若干遅れ気味になっている積み込みを再開した。
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