あきらめられない夢に
「九宝です。
以前、まくりちゃんと一緒にお会いした松坂○○○劇団の九宝です」
現実かどうか疑い、これが現実という事実がにわかに信じ難かった。
それでも、この声の主は紛れもなく先ほどまで僕が考え込んでいた九宝つぐみさん本人で間違いなかった。
「九宝さん、覚えています。
もう一度お話したかったので電話頂けて嬉しいです。
どこでこの番号を?」
「嬉しいだなんて、とんでもない。
勝手ながら宮ノ沢さんの電話番号はまくりちゃんから聞きました」
この声・・・
当たり前だが、あのときと同じ声が僕の耳を通り抜けていく。
電話越しでも、やはり僕はこの声に聞き惚れてしまった。
「そっか、考えてみれば僕の番号を知るとしたら上越しかいませんもんね」
途中、言葉がつかえてしまい、それに気付いたのかまたしても電話の向こうからは九宝さんの上品な笑い声が聞こえてきた。
恥ずかしくなり思わず下を見て、面と向かってではなくこれが電話だったことが少しだけの救いだった。
「そ、それでどうしたんですか、急に電話してきて」
「えっ・・・うーんとね。
どうしよう、もう言っちゃおうかな・・・」
大人びた雰囲気という印象が強かった九宝さんだったが、電話してきた理由を勿体ぶるようにしている言葉は大人というよりは子供のような感じがして可笑しく思えた。
以前、まくりちゃんと一緒にお会いした松坂○○○劇団の九宝です」
現実かどうか疑い、これが現実という事実がにわかに信じ難かった。
それでも、この声の主は紛れもなく先ほどまで僕が考え込んでいた九宝つぐみさん本人で間違いなかった。
「九宝さん、覚えています。
もう一度お話したかったので電話頂けて嬉しいです。
どこでこの番号を?」
「嬉しいだなんて、とんでもない。
勝手ながら宮ノ沢さんの電話番号はまくりちゃんから聞きました」
この声・・・
当たり前だが、あのときと同じ声が僕の耳を通り抜けていく。
電話越しでも、やはり僕はこの声に聞き惚れてしまった。
「そっか、考えてみれば僕の番号を知るとしたら上越しかいませんもんね」
途中、言葉がつかえてしまい、それに気付いたのかまたしても電話の向こうからは九宝さんの上品な笑い声が聞こえてきた。
恥ずかしくなり思わず下を見て、面と向かってではなくこれが電話だったことが少しだけの救いだった。
「そ、それでどうしたんですか、急に電話してきて」
「えっ・・・うーんとね。
どうしよう、もう言っちゃおうかな・・・」
大人びた雰囲気という印象が強かった九宝さんだったが、電話してきた理由を勿体ぶるようにしている言葉は大人というよりは子供のような感じがして可笑しく思えた。