あきらめられない夢に
(この人でもこんな一面があるんだ)
そう思いながら窓の外を見ると満月か、もしくはそれに近い月が輝き夜空を照らしていた。
部屋の電気を消しても、その月の輝きで真っ暗になることはなく十分な明るさだった。
こうしていたほうが電話の向こう側にいる九宝さんが頭の中に浮かびやすい気がし、目を閉じて一度だけあった彼女の姿を思い出す。
「聞いている?宮ノ沢くん」
頭の中で彼女を思い描こうとした矢先のことだったので、またしても慌ててしまい今度は携帯電話を落としてしまった。
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」
それでもまだ何か落ち着くことができないのか、必要以上に視線は様々なところに移りっ放しでいた。
落ち着けない理由は、ごく自然に彼女から敬語がなくなり宮ノ沢『さん』から『くん』になったからだろう。
きっと、この姿を見たら彼女はまた僕のことを笑うのだろう。
「明日、津競艇場でまくりちゃんのレースがあるの。
もし良かったら、一緒に見に行かない?」
その言葉にようやく視線が定まり、部屋の電気をつけた。
上越のレース
地元に帰ってきてから上越とは二度会っているが、競艇選手としての彼女は見たことがなく、当たり前だが彼女がレースをしている姿を見たことなど一度もなかった。
そもそも競艇というものを見たことがなく、九宝さんの言葉から興味が沸いてきた。
そう思いながら窓の外を見ると満月か、もしくはそれに近い月が輝き夜空を照らしていた。
部屋の電気を消しても、その月の輝きで真っ暗になることはなく十分な明るさだった。
こうしていたほうが電話の向こう側にいる九宝さんが頭の中に浮かびやすい気がし、目を閉じて一度だけあった彼女の姿を思い出す。
「聞いている?宮ノ沢くん」
頭の中で彼女を思い描こうとした矢先のことだったので、またしても慌ててしまい今度は携帯電話を落としてしまった。
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」
それでもまだ何か落ち着くことができないのか、必要以上に視線は様々なところに移りっ放しでいた。
落ち着けない理由は、ごく自然に彼女から敬語がなくなり宮ノ沢『さん』から『くん』になったからだろう。
きっと、この姿を見たら彼女はまた僕のことを笑うのだろう。
「明日、津競艇場でまくりちゃんのレースがあるの。
もし良かったら、一緒に見に行かない?」
その言葉にようやく視線が定まり、部屋の電気をつけた。
上越のレース
地元に帰ってきてから上越とは二度会っているが、競艇選手としての彼女は見たことがなく、当たり前だが彼女がレースをしている姿を見たことなど一度もなかった。
そもそも競艇というものを見たことがなく、九宝さんの言葉から興味が沸いてきた。