あきらめられない夢に
雨音だけが響くプレハブ小屋。
まだ一分も経っていないだろうこの状態が、気が遠くなるほど長く感じる。
それだけこの二人が何も話さずに、ただ向き合っていることが緊張感に包まれていた。
「分かった。代わりに俺が行く」
座っている椅子を横に回転させ、机に置いてあるメモに手をつけながら主任が口を開いた。
それでもプレハブ小屋は、まだ空気が張り詰めている。
「すみません」
沢良木が深々と頭を下げた。
その瞬間を、僕は生唾を飲み込んで見届けた。
他のみんなの表情を見ても、恐らくは僕と同じことを思っているだろう。
主任が代わりを務めることを見るのが初めてならば、沢良木がこうして頭を下げることを見るのも初めてで、あまりにも驚きの光景だった。
「失礼します」
頭を上げると、足早に沢良木はプレハブ小屋を出ていった。
ドアを開けるほんの一瞬だけ、沢良木はこちらを見てきて目が合った。
僕にはその目が潤んでいるように見えたが、どうすることもできずに出ていく沢良木に声を掛けられなかった。
まだ一分も経っていないだろうこの状態が、気が遠くなるほど長く感じる。
それだけこの二人が何も話さずに、ただ向き合っていることが緊張感に包まれていた。
「分かった。代わりに俺が行く」
座っている椅子を横に回転させ、机に置いてあるメモに手をつけながら主任が口を開いた。
それでもプレハブ小屋は、まだ空気が張り詰めている。
「すみません」
沢良木が深々と頭を下げた。
その瞬間を、僕は生唾を飲み込んで見届けた。
他のみんなの表情を見ても、恐らくは僕と同じことを思っているだろう。
主任が代わりを務めることを見るのが初めてならば、沢良木がこうして頭を下げることを見るのも初めてで、あまりにも驚きの光景だった。
「失礼します」
頭を上げると、足早に沢良木はプレハブ小屋を出ていった。
ドアを開けるほんの一瞬だけ、沢良木はこちらを見てきて目が合った。
僕にはその目が潤んでいるように見えたが、どうすることもできずに出ていく沢良木に声を掛けられなかった。