あきらめられない夢に
右手を軽く唇に押し当てて、つぐみさんはその言葉を上品に笑い返す。

その表情から二人の会話の内容が見当もつかなくなり、お手上げという感じで「へっ」と軽く呟き空を仰いだ。



どこまでも青く続く空。



ずっと眺めていると、自分はその青さの下にいるのか、それとも上にいるのか分からなくなってしまいそうだ。

そして、いつの間にか自分もその一部になっていく。


「二人が何を話していて、何を感じているのかは俺には分からない。

でも、沢良木が頑張れているのは俺じゃなくて、つぐみさんのおかげだよ。

俺も今こうして頑張れているのは、やっぱりつぐみさんのおかげだもん。

いつの間にかつぐみさんは俺の一部になっているように、沢良木も同じ感じじゃないかな?」


視線をつぐみさんに戻すと、少しだけ恥ずかしそうな表情で顔を赤くしていた。

僕は何かおかしなことでも言ってしまったのだろうか。


「あっ」


思わず僕も顔を赤くしてしまう。


「いいよ、そのままで。

その・・・これからも、ずっと」


二人ともお互いに視線を外し、不自然な笑いを浮かべる。
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