あきらめられない夢に
その後は続々と出席者が集まり、開始予定時間の五分過ぎには一人を除いて全員が揃った。

その最後の一人が幹事の園木ということが、どこかあの頃の僕たちらしくて全員が大笑いした。


「上越、もう始めようぜ」


いつ来るか分からない奴を待っていてもしょうがないと思い、もう一人の幹事に呼び掛ける。

笑顔で頷き、各テーブルに飲み物の注文が書かれた紙を回収し、店員を呼びつけた。


「お待たせしました」


その直後に園木が入ってきて、みんなからは「待っていたのはお前じゃなくて、飲み物だよ」「来るなら飲み物持ってこいよ」などと罵声を浴びながら、みんなの笑顔を誘っていた。



しばらくして飲み物も全てが揃い、幹事でもあり大トリでやってきた園木の乾杯により、無事に同窓会が始まった。



みんな笑顔で飲み物を酌み交わし、高校時代のことや現在のことで話に花を咲かせていた。

高校時代の僕が姿を現しても大丈夫なように、上越からできるだけ離れて座った。



高校を卒業してから一度も帰ってきておらず、誰とも顔を合わせていなかった。

そのため、ここにいる全員が七年振りに会うことになる。



全く変わっておらず、すぐに名前が出てきたやつ。



逆に別人のように変わって、本人から名前を言わるまで気付けなかったやつ。



結婚して、子供までいるやつ。



七年という月日を経て会ったクラスメートは、とても新鮮だった。


「なんだよ、今回が初めてなのかよ」


話をしていくうちに、実は同窓会をやることが今回初めてだということを知った。

自分だけが遠ざかっていたわけではないと知り、心のどこかで安心したような気持ちになる。
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