あきらめられない夢に
「それにしてもゴールデンウィークに同窓会をするって、ちょっと中途半端な時期じゃない?」


突然、ゆっこがみんなに聞こえるように大声で言った。


「確かに、普通はお盆とか年末年始だよな」


それにつられて、誰かが同じように言う。


(おいおい)


そんなことをわざわざ大声で言わなくてもいいだろうと思い、言いだしっぺであるゆっこを見る。

すると目が合い、何やらこちらに合図を送っているようだった。


(ああ、なるほどね)


その合図の意図を知り、僕は立ち上がった。


「それはどっかの誰かさんが、またフライングして休みになったからなあ。

こういうときじゃないと、できないでしょ」


わざとらしく動作を大きくして、上越のほうを笑いながら見る。

その横では、ゆっこがこちらに向けて笑顔で親指を立てていた。


「もう、止めてよお」


笑いながら片方の手で顔を隠し、片方の手は体の前で左右に振っていた。

こちらが名前を言わずとも、勝手に自分だと認めているような仕草にみんなが上越に注目した。


「え、フライングって、まくりちゃんって今は陸上選手?」


「馬鹿。陸上でフライングして休みになるかよ」


「競艇選手になったんだよな」


一斉に上越がいるテーブルに人だかりができて賑やかになった。

高校時代もこういう光景を何度も見てきて、どこか懐かしいとさえ思えた。
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