あきらめられない夢に
「なんだよ、お前らしくもない。

いいから、続けろよ園木」


強引に近くにいた男に引っ張られ、僕の手は園木の口から離れてしまった。

みんなが静かになり続きを待っていて、僕は天を仰ぎ額に手を当てる。


「あの夏、上越に告白したじゃないかよ。

それなのにゆっこと二人で並んでいて、お前はそれでいいのかよ」


一瞬、会場が静まり返り、そして、歓声のようなものに包まれた。

男子は僕のところに、女子は上越のところに集まり、職務質問のような感じで次から次へと言葉が襲い掛かってきた。



迂闊だった。



高校時代の僕を抑えることに必死で、園木の酒癖の悪さを計算していなかった。



その園木は、僕と上越のことを暴露するだけしておいて、気持ちの良さそうに眠っている。


(寝るなら、もっと早くに寝ろよ)


こうして責める相手も寝てしまい、僕は最後まで男女構わず誰かしらにこの話題を振られることとなった。



上越のほうはその話題を振られるたびに酒を飲まされていたが、一体どういう気持ちで話を聞いていて、どういう返事をしていたのだろうか。
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