あきらめられない夢に
テーブルの上に置いてあるテレビのリモコンを取り、スイッチを入れる。
「引っ越し初日のご飯が、ビールだけじゃ味気ないでしょ。
用意するわよ」
「手伝ってもらったうえに、夕飯まで作らせちゃ悪いよ」
鞄を手に取ろうとする彼女を引き留めようと慌てて立ち上がると、ソファーの横に置いてある段ボールに足を取られる。
段ボールが横になり、整理して入れてあった大量のルーズリーフが散らばってしまった。
「あれ、これって・・・」
しゃがみ込み、拾った一枚に彼女は目を通す。
どの段ボールに何を入れたかうろ覚えだったので、彼女の隣にしゃがんで一緒に目を通した。
「今、執筆している作品のやつだ」
それは僕が小説を執筆しているとき、作品の全体、章や節ごとの構成などを書いてあるものだった。
他のルーズリーフを見ても全て同じものであり、彼女は一枚一枚を覗き込み興奮して手を離さなかった。
「こういうの捨てられないから、恐らく全部の作品があると思うよ」
この一言で目を輝かせて、物凄い勢いで近づいてきた。
あまりの勢いに、思わず軽く仰け反ってしまった。
「もしかして、『あきらめられない夢に』もあるの?」
僕の性格からして、作品の順番通りに段ボールに入れてあるはずだ。
一番上に最新の作品があるということは、処女作である『あきらめられない夢に』は一番下。
横になっている段ボールを手に取り、一番下になっていたと思われるところからルーズリーフを引っ張り出す。
「これだよ」
彼女に差し出すと、食い入るようにしてルーズリーフを見つめ出した。
あまりにもルーズリーフと顔の距離が近すぎて、思わず笑ってしまった。
「引っ越し初日のご飯が、ビールだけじゃ味気ないでしょ。
用意するわよ」
「手伝ってもらったうえに、夕飯まで作らせちゃ悪いよ」
鞄を手に取ろうとする彼女を引き留めようと慌てて立ち上がると、ソファーの横に置いてある段ボールに足を取られる。
段ボールが横になり、整理して入れてあった大量のルーズリーフが散らばってしまった。
「あれ、これって・・・」
しゃがみ込み、拾った一枚に彼女は目を通す。
どの段ボールに何を入れたかうろ覚えだったので、彼女の隣にしゃがんで一緒に目を通した。
「今、執筆している作品のやつだ」
それは僕が小説を執筆しているとき、作品の全体、章や節ごとの構成などを書いてあるものだった。
他のルーズリーフを見ても全て同じものであり、彼女は一枚一枚を覗き込み興奮して手を離さなかった。
「こういうの捨てられないから、恐らく全部の作品があると思うよ」
この一言で目を輝かせて、物凄い勢いで近づいてきた。
あまりの勢いに、思わず軽く仰け反ってしまった。
「もしかして、『あきらめられない夢に』もあるの?」
僕の性格からして、作品の順番通りに段ボールに入れてあるはずだ。
一番上に最新の作品があるということは、処女作である『あきらめられない夢に』は一番下。
横になっている段ボールを手に取り、一番下になっていたと思われるところからルーズリーフを引っ張り出す。
「これだよ」
彼女に差し出すと、食い入るようにしてルーズリーフを見つめ出した。
あまりにもルーズリーフと顔の距離が近すぎて、思わず笑ってしまった。