あきらめられない夢に
「それ、あげるよ。
今日のお礼」
彼女は言葉ではなく、表情で「いいの?」と聞いてきた。
僕はそれに対して「いいよ」という表情で、彼女に答えた。
僕が持っていても、結局は今日のように段ボールに入ったままだ。
それだったら、彼女に目を通されたほうがルーズリーフとしても幸せだろう。
部屋の隅で壁に寄りかかりながら、夢中になってルーズリーフに目を通している。
そんな彼女に今は何を話し掛けても無駄だろうと思い、キッチンへと移動してコーヒーを淹れることにした。
実家にいるときは自らコーヒーを淹れることをしなかったが、家具を揃えるために立ち寄った中古販売店でコーヒーメーカーが安く、思わず衝動買いをしてしまったのだ。
淹れたてのコーヒーをテーブルの彼女に一番近い位置に置き、ソファーの上ではなく下の部分に寄り掛かるように座り込んでビールに口をつけた。
何軒かコーヒー豆を買いに覘いたのだが、『アリエス』で飲んでいたロブスターWIBは置いていなかったので、最後に入った店にお薦めを頂いてきた。
どうやら、あまり置いていない品種だったようだ。
「あっ、いけない」
何一つ音を立てなかった彼女が、急に叫び出した。
時間を見るともう七時になろうとしていて、これから彼女が何をしなければいけないというのが分かった。
「はい」
持ってきた荷物を差し出す。
「ありがと」
受けとろうと彼女が手を伸ばす。
今日のお礼」
彼女は言葉ではなく、表情で「いいの?」と聞いてきた。
僕はそれに対して「いいよ」という表情で、彼女に答えた。
僕が持っていても、結局は今日のように段ボールに入ったままだ。
それだったら、彼女に目を通されたほうがルーズリーフとしても幸せだろう。
部屋の隅で壁に寄りかかりながら、夢中になってルーズリーフに目を通している。
そんな彼女に今は何を話し掛けても無駄だろうと思い、キッチンへと移動してコーヒーを淹れることにした。
実家にいるときは自らコーヒーを淹れることをしなかったが、家具を揃えるために立ち寄った中古販売店でコーヒーメーカーが安く、思わず衝動買いをしてしまったのだ。
淹れたてのコーヒーをテーブルの彼女に一番近い位置に置き、ソファーの上ではなく下の部分に寄り掛かるように座り込んでビールに口をつけた。
何軒かコーヒー豆を買いに覘いたのだが、『アリエス』で飲んでいたロブスターWIBは置いていなかったので、最後に入った店にお薦めを頂いてきた。
どうやら、あまり置いていない品種だったようだ。
「あっ、いけない」
何一つ音を立てなかった彼女が、急に叫び出した。
時間を見るともう七時になろうとしていて、これから彼女が何をしなければいけないというのが分かった。
「はい」
持ってきた荷物を差し出す。
「ありがと」
受けとろうと彼女が手を伸ばす。