あきらめられない夢に
それから三人は行きと同様に必要以上の言葉を口にはせず、静かに伊勢へと戻った。



アパートまで送ってもらった沢良木は、高速料金やガソリン代の受け取りを拒否するようにすぐさま車を走らせた。

その車を見えなくなるまで二人で見届け、僕たちは部屋へと入った。


「じゃあね」


病院から一言も発していなかったつぐみさんの声を久し振りに聞いたのは、彼女が帰宅するときに玄関前で口にしたこの言葉だった。
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