あきらめられない夢に
それから十分くらいが経った頃に、団長は小走りで僕の元へと戻ってきた。
「それじゃ、行こうか」
どうやら稽古にはつぐみさんと一緒に来たらしく、団長は返事を待たずに僕の車の助手席へと乗り込んだ。
考えてみればこうして団長と二人きりになるのは、『あきらめられない夢に』の原稿を渡したとき以来だった。
「口で説明したほうが早いな」
カーナビで目的地の設定をしようとしたのだが、どうにも上手くいかなかったらしい。
つぐみさんの機械音痴なところは、父親譲りだったということか。
そう思うと、可笑しくて少し笑ってしまった。
それを見てか、団長は大袈裟に両手を広げて、まさにお手上げ状態ということを僕に示してきた。
「店の名前を教えてください」
ナビの画面に指を触れ、団長の言った店の名前を手慣れた手付きで入力して目的地を設定した。
その時間はほんのわずかしか要しておらず、僕は自慢げな表情を、団長は不服そうな表情をして、目を合わせて二人とも笑い合った。
こういうところは二人とも似ていて、やはり親子なのだなと感心してしまった。
「それじゃ、行こうか」
どうやら稽古にはつぐみさんと一緒に来たらしく、団長は返事を待たずに僕の車の助手席へと乗り込んだ。
考えてみればこうして団長と二人きりになるのは、『あきらめられない夢に』の原稿を渡したとき以来だった。
「口で説明したほうが早いな」
カーナビで目的地の設定をしようとしたのだが、どうにも上手くいかなかったらしい。
つぐみさんの機械音痴なところは、父親譲りだったということか。
そう思うと、可笑しくて少し笑ってしまった。
それを見てか、団長は大袈裟に両手を広げて、まさにお手上げ状態ということを僕に示してきた。
「店の名前を教えてください」
ナビの画面に指を触れ、団長の言った店の名前を手慣れた手付きで入力して目的地を設定した。
その時間はほんのわずかしか要しておらず、僕は自慢げな表情を、団長は不服そうな表情をして、目を合わせて二人とも笑い合った。
こういうところは二人とも似ていて、やはり親子なのだなと感心してしまった。