あきらめられない夢に
名前を聞いただけではいまいち分からなかったが、店に着くのと同時にはっきりと思い出した。
そこは今の会社の初めての出勤日の前日に、つぐみさんと一緒に来た店だった。
「この店・・・」
やはり、こういうところも親子で似てくるのだろうか。
それとも、ここが家族ぐるみでの行きつけの店なのだろうか。
席へと座ると、すぐさま店員を呼んだ。
「いいかな?」
こちらを見て、右手でジョッキをあおるような仕草を見せてきた。
「いいですよ」
そう答えると、とびきりの笑顔になってもう一度店員を呼んだ。
慌てて小走りで来た店員に「生中」と気持ちが良いくらいに潔く言い、僕はそのあとに烏龍茶を注文した。
そして、メニューに目を通そうとしたところで「僕のおごりだから」とこちらに呟き、料理を三品と自分のつまみを一品だけ注文して落ち着いた。
生中と烏龍茶が届くと、二人で乾杯をして喉を潤した。
一口を終えると「くうう」と声を鳴らし、次の瞬間に真剣な表情へと変えた。
「今日の稽古を見て、宮ノ沢くんは率直にどう思った」
あまりにも突然の変化、あまりにも唐突な質問だったため、すぐさま返事をすることができなかった。
どう答えればいいのかも頭の中で上手く纏まらず、口にはせずとも表情で何となく伝わるようにしてみる。
「一週間前ということを考えれば、上出来すぎるほどみんな順調に来ているよ」
「そうですね」
「たった一人を除いてね」
そこは今の会社の初めての出勤日の前日に、つぐみさんと一緒に来た店だった。
「この店・・・」
やはり、こういうところも親子で似てくるのだろうか。
それとも、ここが家族ぐるみでの行きつけの店なのだろうか。
席へと座ると、すぐさま店員を呼んだ。
「いいかな?」
こちらを見て、右手でジョッキをあおるような仕草を見せてきた。
「いいですよ」
そう答えると、とびきりの笑顔になってもう一度店員を呼んだ。
慌てて小走りで来た店員に「生中」と気持ちが良いくらいに潔く言い、僕はそのあとに烏龍茶を注文した。
そして、メニューに目を通そうとしたところで「僕のおごりだから」とこちらに呟き、料理を三品と自分のつまみを一品だけ注文して落ち着いた。
生中と烏龍茶が届くと、二人で乾杯をして喉を潤した。
一口を終えると「くうう」と声を鳴らし、次の瞬間に真剣な表情へと変えた。
「今日の稽古を見て、宮ノ沢くんは率直にどう思った」
あまりにも突然の変化、あまりにも唐突な質問だったため、すぐさま返事をすることができなかった。
どう答えればいいのかも頭の中で上手く纏まらず、口にはせずとも表情で何となく伝わるようにしてみる。
「一週間前ということを考えれば、上出来すぎるほどみんな順調に来ているよ」
「そうですね」
「たった一人を除いてね」