あきらめられない夢に
「そのつぐみを守り通せると、はっきりと君は言えるのかい?」


僕は口を閉ざした。



「もちろんです」と言いたいのだが、いや、言わなければいけないのだが、それは簡単に口にしてはいけない。


その覚悟が、その資格が、僕にはまだ足りていない。

そんな気持ちが、僕の口を閉ざし続けている。


「言葉が無くとも、いい表情だ。

君と出会ってから、あの娘が変われた理由が分かるよう気がする」


いつもの穏やかな表情に戻り、僅かに残っているジョッキを勢いよく口に流し込み、大きく息を吐いた。

僕がドリンクのメニューを見せようとしたところ、その手を包み込むように団長が手を被せてきた。


「慎二くん。

君の男としての見せどころだよ」


その言葉にただ頷くしかなかった。
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