あきらめられない夢に
「つぐみさん、今日はありがとうございます」


あっという間に披露宴もお色直しになってしまい、新郎新婦が各テーブルに備わっているキャンドルに火を灯す。

僕の目の前にいる沢良木は、三年前とは見間違えるほどウエディングドレスが似合っていた。


「おめでとう」


二人に向かって言うと、園木が変わらない笑顔で沢良木の手を取り、次の席へと向かっていった。


「本当に沢良木は女性らしくなったよ。

思わず見とれてしまうや」


その言葉を言い終わると、左の太股をつぐみに抓られて痛みが走った。

彼女のほうに視線を向けると、「知らない」とそっぽを向いてしまった。


「つぐみのおかげだよ」


精一杯のフォローのつもりだったが、それでも彼女の機嫌は斜めのままのようだ。



家族になってからも、僕たちはこんなやり取りばかりしている。



それでも、テーブルの下ではお互い手を取り合っている。



きっと、この先もずっと僕たちは二人で歩いていけるだろう。



こうして、手を取り合い、二人で並んで歩いていくのだろう。










本編~完~
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