あきらめられない夢に
独特の香りと物凄く深みがあるロブスターWIB、この豆をこんなにも美味しい状態で出せる店を僕は他に知らない。
そして、火を点けてしばらく経ったセブンスターとの相性が抜群で、先輩に連れて来られてから僕はここでこれを口にすることが他の何よりも安らぎの時間だった。
「先輩、違います」
一口啜るが、今日は酷く苦く感じる。
セブンスターが無いからか、それとも今の僕の気分がそうさせているのか分からない。
それでも二口目を啜り、先輩と面と向かって口を開いた。
「『辞める』じゃなくて、『辞めた』の間違いです。
今日はデスクの整理と自分の荷物を回収しに来ただけです」
辞めさせられた
本当はそう言いたかったが結局は何も言わずに自分で受け止めたことなのだから、やはり『辞めた』が正しい表現に思えた。
先輩の納得のいかない表情から視線を逸らさず、僕は先輩の返答を待った。
「もう・・・決めたことなのか」
言葉にはせず、ゆっくりと一度だけ頷いた。
先輩は大きくため息をつき、左手で握り拳を作ってテーブルの上で貧乏揺すりをし始める。困ったときの先輩の癖を見るのもこれが見納めだろう。
「これからどうするんだ?」
むやみに引き留めようとせず瞬時に僕の次のことを心配してくれる先輩の思いやりが、今の僕にとっては一番の優しさだった。
いきなりの通告だったので、このあとの当てがあるわけでもなく僕は困り果ててしまった。
そして、火を点けてしばらく経ったセブンスターとの相性が抜群で、先輩に連れて来られてから僕はここでこれを口にすることが他の何よりも安らぎの時間だった。
「先輩、違います」
一口啜るが、今日は酷く苦く感じる。
セブンスターが無いからか、それとも今の僕の気分がそうさせているのか分からない。
それでも二口目を啜り、先輩と面と向かって口を開いた。
「『辞める』じゃなくて、『辞めた』の間違いです。
今日はデスクの整理と自分の荷物を回収しに来ただけです」
辞めさせられた
本当はそう言いたかったが結局は何も言わずに自分で受け止めたことなのだから、やはり『辞めた』が正しい表現に思えた。
先輩の納得のいかない表情から視線を逸らさず、僕は先輩の返答を待った。
「もう・・・決めたことなのか」
言葉にはせず、ゆっくりと一度だけ頷いた。
先輩は大きくため息をつき、左手で握り拳を作ってテーブルの上で貧乏揺すりをし始める。困ったときの先輩の癖を見るのもこれが見納めだろう。
「これからどうするんだ?」
むやみに引き留めようとせず瞬時に僕の次のことを心配してくれる先輩の思いやりが、今の僕にとっては一番の優しさだった。
いきなりの通告だったので、このあとの当てがあるわけでもなく僕は困り果ててしまった。