あきらめられない夢に
「明日って、金曜日だからまだ平日だろ?

それにもう職業安定所の場所は分かったし、今日も一人で行ってきたし、別に一緒に来なくてもいいよ」


整理をしようとはしているものの、自分の想像などが邪魔をして上手く整理できない。

今、自分がどういうことを話しているかさえも理解に苦しむほど、僕は携帯電話を片手に部屋で困惑していた。


「別に私は大丈夫だよ。次の仕事は一週間後だし」


その言葉が余計に僕の頭の中を散らかした。

おかげでもう何をどう聞けばいいのか分からずに、僕の頭の中は完全に使い物にならなくなってしまった。


「明日の夜に約束で行かなきゃいけないところがあるし、宮ノ沢くんも気分転換にいいと思うから一緒に行こう」


「分かった、分かったから。

とりあえず会うのはその夜の用事だけでいいだろ。

職業安定所は俺一人で行くから」


その言葉にようやく頭の中の思考回路は復活をし、よりによってまた僕にとって悪い方向へと働き出してしまった。

自分が転職活動をしている姿など誰にも見られたくない。

自分が情けないことなど分かっているが、落ちこぼれた僕には分かっていてもこんなときに強がること以外どうすればいいか分からなかった。

それが負け犬の遠吠えのように思えて、余計に自分自身を傷つける結果になっても、今はそれを繰り返すしかないのだろうか。



結局、彼女が待ち合わせ時間と場所を全て簡単に決めて、その日の電話は終了した。

部屋の窓を開けて、星空に向かって新しく封を切ったセブンスターに火を点け煙を吹かす。

煙はすぐに消えて、また新しい煙を吹かす。

僕は一体、ここで何がしたいのだろう・・・
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