あきらめられない夢に
駐車場から大通りに出てからしばらくは、二人とも何も話さずに車内はラジオの音だけが小さく流れていた。
その車内に居心地の良さを感じられず、堪らずに僕は口を開いてしまった。
「何も聞かないんだな」
自分は馬鹿か天才かと聞かれれば、明らかな馬鹿だと思う。
その馬鹿が発した言葉により、彼女にも今の僕の気分が移ってしまったのではないかと心配する。
「・・・頑張れ」
ラジオの音よりも小さく、僕とは反対側のほうに顔を傾けていたので聞き取りづらかったが、彼女はその言葉だけを呟き笑顔のまま運転を続けていた。
その態度は上から目線ではなく、一番されたくない同情というようなものでもなく、どこか今の自分に一番合っているような気がした。
「そうえいば、仕事とか大丈夫なのかよ。
昨日は戸田に行っていて次は来週って、どういう仕事しているんだよ」
その言葉にそれまでずっと笑顔だった彼女が、何か呆気に取られたような締まりのない顔でこちらを見てきた。
「上越、信号。赤だよ、赤」
急ブレーキに近い感じで車は停まり、お互いが前のめりになった。
いくら自分でも馬鹿だと思う僕でも、それほどまでに変な質問をしただろうか。
もう一度彼女に目を向けると、今度は先ほどとは違ったどこか苦笑いのような笑顔を見せて目が合った。
その車内に居心地の良さを感じられず、堪らずに僕は口を開いてしまった。
「何も聞かないんだな」
自分は馬鹿か天才かと聞かれれば、明らかな馬鹿だと思う。
その馬鹿が発した言葉により、彼女にも今の僕の気分が移ってしまったのではないかと心配する。
「・・・頑張れ」
ラジオの音よりも小さく、僕とは反対側のほうに顔を傾けていたので聞き取りづらかったが、彼女はその言葉だけを呟き笑顔のまま運転を続けていた。
その態度は上から目線ではなく、一番されたくない同情というようなものでもなく、どこか今の自分に一番合っているような気がした。
「そうえいば、仕事とか大丈夫なのかよ。
昨日は戸田に行っていて次は来週って、どういう仕事しているんだよ」
その言葉にそれまでずっと笑顔だった彼女が、何か呆気に取られたような締まりのない顔でこちらを見てきた。
「上越、信号。赤だよ、赤」
急ブレーキに近い感じで車は停まり、お互いが前のめりになった。
いくら自分でも馬鹿だと思う僕でも、それほどまでに変な質問をしただろうか。
もう一度彼女に目を向けると、今度は先ほどとは違ったどこか苦笑いのような笑顔を見せて目が合った。