あきらめられない夢に
大晦日と正月の二日間だけで普段と変わらない二日間の休みだったが、それでも正月休みという気分を十分に味わう二日間だった。

それだけに新年初仕事は体が重く感じ、通常よりも時間が長く感じた。



最後の配達先からトラックを走らせ、ようやく会社に戻ってきた。

プレハブ小屋に入り自分の名札をひっくり返し、他の人の名札を確認する。

どうやら、戻ってきているのは僕の他には沢良木だけのようのだった。



明日配達する荷物の積み込みのためにトラックを倉庫へと移動させ、戻ってきている彼女の隣に停めて中へと入った。


「よう、沢良木。

相変わらず、早いな」


トラックのボディの中に入ったままで、顔を出さずに彼女は「おう」とだけ返事をしてきた。

中の様子を見ると積み込みはもうすぐ終わりそうで、配達といい相変わらず仕事が早いと感心させられる。


「さて、やるか」


明日の積み込みリストを取り出し、中から商品を取り出していく。

最初はミスも多く時間が掛かっていたこの作業だが、最近はようやく慣れてきてミスは無くなってきた。

それでも未だに時間は掛かり、いくら配達を早く終えても他のみんなと上がる時間はそんなに変わらなかった。



商品を全て取り出すと、僕のトラックのボディの入口で彼女は立っていた。


「どうした?もう積み込み終わったんだろ」


「別に。

まだ誰も戻ってきてやしないし、一人だけこんなに早く帰ってもつまらないだろ」


暇ならば手伝ってくれてもいいと思うのだが、そんな様子も全くなく、僕からそれを言うことはとてもできなかった。
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