さよならをください
死までの猶予
あの日は朝から雨が降り続いていて、次第に雨足は強まり豪雨となり、雨によって視界が遮られ見たこともない雨となった。



川の流れは怒号をあげ、まるで人間をあざ笑うかのように今にも氾濫しそうだった。



そのとき、僕は一人の女の子を見てしまった。



無我夢中で飛び込み、女の子を抱え岸まで上がろうとしたが、女の子を上げたところで力尽きた。



失っていく意識の中で、はっきりと思ったことがある。



それは・・・



死ぬんだ



そして、僕は怒り狂った川の餌食になり、意識を失った。

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