さよならをください
授業が終わり、ようやく席に座ると、後ろから小馬鹿にしたような笑い声が近付いてきた。


「また、キミジマ先生に怒られたね」


オオミ ヒサカ


小学校一年から十二年間も同じクラスを継続している幼馴染だ。

僕に都合の悪いことがあると、こうしてすぐに近寄ってきては人を馬鹿にする非常に性格の悪い女だが、学校の男子からはそこそこ人気がある。


「はいはい、分かりましたよ。

どうせ俺が悪いから、あっち行った」


「何よ、人を邪魔者みたいに扱って」


高校を卒業してからは、このヒサカとは一度も会ったことはなかった。

そのせいか、たとえ高校時代のヒサカだろうと非常に懐かしく思えて、この絡みも久しぶりだった。


「仲のいいところにごめんね。

ソラタくん、これ今日の課題ね」


先生が差し出してきた一枚の紙切れに、何かが書いてあった。
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