さよならをください
「何ですか、これ」


「それを調べて、今日の放課後に私に提出ね」


「えっ、何でですか」


そう言い切る前に大方の予想はついてしまい、思わず舌打ちをしてしまった。

その姿を見て、また後ろでは小馬鹿にしたような笑い声が聞こえてくる。


「授業中に堂々と居眠りしていたからよ。

ちゃんと放課後に提出しなさいよ」


念を押しながらキミジマ先生は教室を出て、少し早足で職員室のほうへと向かっていった。

あの性格を差し引けば、十分に学校の中では人気者の教師になれると思っているのは僕だけだろうかと、もう一度同じようなことを思ってしまう。

しかし、手に持っている課題の書かれた紙に視線を移すと、ため息が思わず出てしまい、その考えを取り消したくなってしまうような気分になる。


「ご愁傷様」


後ろから聞かされたこの言葉が、僕にとってのトドメのように思えた。
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