さよならをください
気が付くと、僕は職員室ではなく資料室の前に立っていた。

日直からは先生の場所は聞いていない。

普通に考えれば職員室にいるはずで、僕も自分が職員室に向かっているものだと思っていたが、無意識のうちに資料室へと来ていた。

まだ、課題を調べようとしているのだろうか。


(ここを使うには入室許可を取らないと入れないだろ)


頭を二度三度と掻き、自分の無意識さに呆れ気味になりため息をつき、職員室へと足を進めようとする。



しかし、どうにも職員室へ足と気持ちが向かおうとしない。

まるで、誰かにこの資料室から離れてはいけないと言われているような錯覚、もっと言ってしまえば資料室に入れと背中を押されているようだった。


「あっ」


生きていた頃の高校三年生、今、このときのことが頭の中で映画のように映像が一気に流れていく。



高校三年生のとき、僕は・・・
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