愛してるよ、何よりも

それから、電車に揺られ窓の景色を眺めていると、実家の最寄り駅へ着いた。


一年ぶりに降りたその駅は景色が随分変わっていて、驚いた。


大きなスーパーが開店されていたり、かと思ったら高校生の頃通っていたファミリーレストランが閉店されていたりと、がらんと変わってしまった景色を前に、私は一年という年月の長さを思い知った。


都会から少し離れているこの場所は、駅でも人が少なくてとても静かだった。


ここから10分くらい歩けば実家に着く。


今は何か考えるのはやめよう。頭と心を無にして、私は歩き始めた。


しかし一歩踏み出そうとした時、グイッと後方に腕を引かれた。


「えっ?」


突然のことに私はバランスを崩しながら、後ろを振り返った。


振り返った瞬間、私の視界いっぱいに映る人物に驚いて言葉を失ってしまった。


何で…?


どうしてあなたがここにいるの?




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