愛してるよ、何よりも
私の腕を引いたのは、スーツ姿の麗斗だった。
「なっ…何で…?」
頭が真っ白になった。
何で、麗斗がここにいるの?
「やっぱり、美桜だ」
「えっ?」
動揺する私とは反対に満面の笑みの麗斗。
「いや、後ろ姿が美桜に似てて、声かけたんだけど聞こえてなかったみたいだからさ」
ボーっとしていたせいか、私は麗斗の声が聞こえなかったらしい。
「何でこんなとこにいるの?今日会社は?」
「えっ…あぁ…ちょっと色々あって」
何で私は今この人と話してるんだろう。
彼から電話がくるかもしれないと知って、スマホを置いて家を飛び出してきたというのに。
私は今の状況が飲み込めないでいた。
胸の鼓動が段々早くなっていく。
苦しい…。せっかくスマホを置いてきたのに。
これじゃ意味ないじゃん……。