愛してるよ、何よりも
「はっ…はい」
「いいの?」
目を見開く麗斗。でも、断る理由なんてなかった。
私がもう一度「はい」と言うと、麗斗は嬉しそうに微笑んだ。
「俺、木村 麗斗(きむら れいと)高三!よろしくね」
そう言って麗斗は私の前に自分の手を差し出した。
「川崎 美桜(かわさき みお)です」
私は差し出された麗斗の手を軽く握った。
握手を交わすと、麗斗は「じゃあ」と一言告げ、私の教室から去って行った。
男の人から告白されるのも、手を握られるのも全て私にとって初めての経験だった。
胸の鼓動が早くなる。ドキドキと異常なくらい早く脈打つ。
苦しい。でも辛い苦しさじゃなくて、胸がキュッとなる心地よい苦しさ。
「美桜すごいじゃん!」
「やるなー、川崎」
「彼氏が麗斗先輩なんて、羨ましい!」
周りから口々に聞こえる祝福の声。
初めてされた告白、初めてできた彼氏。
おまけに相手は超イケメンで学校一の有名人。
これから始まる彼との学校生活はどうなっていくのだろう。
期待と不安で胸が一杯になった。
この時私は疑っていなかった。これから楽しい日々が待ってると。