愛してるよ、何よりも

しかし、私の思いとは反対に事は起きた。


一時間目の体育が終わって教室に帰ってくると、机の中の教科書がビリビリに破かれていた。


「えっ…」


何これ?


胸がドキンと大きく波打つ。


これって……。


朝頭に浮かんだ言葉が再び蘇ってくる。


違う、違うよ…。


だって昨日まで普通だったのに、今日いきなりこんなこと考えられない。


でも、そうだとしたらこれは一体……。


自分の手に握られた教科書を見て、体操着から制服に着替えることもできずに、私はただ呆然としていた。


「ちょっと可愛いからってねー」


「そうそう。教科書くらい軽いって!」


「上履きも今頃焼却炉で燃やされてるんじゃん?」


「しーっ!聞こえるって!」


「えー?だって、聞こえるように言ってるんだもん」


―――きゃははは。


昨日まで仲良くしていた友達が後ろで笑いながら話してる声が聞こえた。


違う、私のことじゃない。そう頭では思うのに心は素直にそれを受け入れて、私は耳を塞ぎたくなった。


その友達の声に、私は身体が硬直してその場から動けなくなった。


何で…?昨日まで普通だったよね…?






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