愛してるよ、何よりも

大好きだったから。


私は麗斗のことが好きで好きで、たまらないほど大好きだったから。


「おはよう、美桜」


朝は必ず麗斗と学校近くの公園で待ち合わせして一緒に登校した。


「美桜いる?」


昼休みは麗斗が私の教室まで来てくれて、一緒にお昼ご飯を食べた。


「美桜、好きだよ」


一日一回、彼から聞く『好き』の言葉。


麗斗が私のそばにいてくれるなら、ほかに何もいらないと思うくらい私は彼のことが大好きだった。


「美桜…いい?」


「えっ…」


初めてキスをしたのは、付き合って一か月経ったお昼休みの時、屋上でいつものように一緒にお昼ご飯を食べる前だった。


初めてのキスは緊張して緊張して、私は目を瞑ることさえ忘れた。


「美桜真っ赤!しかも、キス下手!」


唇を離した時、麗斗が私を見て笑いながらそうからかった。


私は男の子のからかいに慣れてなかったから、麗斗の言葉を本気で受け止めて悔しくなって涙を流した。


麗斗は私が初めて付き合った人じゃないのは知っていた。


私とのキスも麗斗が沢山経験してきたキスの一つだと分かっていた。


でも、そんな彼との差が悔しくて、自分でもよくわからない感情が溢れて泣いてしまった。


すると彼はオロオロとして「ごめん」と謝ってくれた。


それでも気持ちを止められず、泣き続ける私を力一杯抱きしめて、頭を撫でながら「ごめん…。泣かないで」と言葉を繰り返した。


そんな彼を私は抱きしめ返して「ごめんなさい、泣いて」と謝った。


私の言葉を聞いて、麗斗は私から身体を離し、「俺が悪いよ。ごめんな」と言いながら私に微笑んでくれた。











< 34 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop