愛してるよ、何よりも
お風呂から上がって、リビングに行くとソファに座るお父さんの姿があった。
「美桜!よく来たな!」
「うん…」
晴れやかな笑みを浮かべるお父さんの隣に、私は腰を下ろした。
「今日美桜が帰ってくるって母さんから聞いて、急いで仕事片付けてきたんだぞ」
「うん…。ありがとう、お父さん…」
「さぁさぁ、二人ともこっち来てご飯食べましょう」
キッチンにいるお母さんに呼ばれ、お父さんと私はソファから立ち上がった。
二人とも、私が何で急に帰ってきたのか理由を聞いてこない。
特別な用があるわけでもないのに、急に帰ってきたのに…。
考えてみれば、いつもそうだった。
高校生の時、あまりに辛くて涙を流しながら帰ってきたことがあった。
その時も両親は、私に何があったか理由は聞いてこなかった。
でもその日、食卓に並んでいたのは私の大好きなものばかりだった。
今日だって、食卓に並んでいるものは、私の大好きなものばかり。
たらこスパゲッティー、ポテトグラタン、コーンサラダ、クリームスープ。
二人とも、温かすぎるよ……。
「美桜の居場所はいつもこの家にあるから、辛いことがあったらいつでも帰ってきなさい」
食卓テーブルの前で立ち尽くす私に、お父さんがポツリ呟いた。