愛してるよ、何よりも
『今ね、麗斗さん達と飲んでるの!美桜も来なよ!』
夢子の言葉を聞いて、さーっと自分の顔から笑みが消えていくのが分かった。
麗斗さん達と飲んでる……?
この電話の向こう側には、麗斗がいるってこと…?
『明日は会社だけどさ、まだ時間早いし!ね、おいでよー!女私一人だから、寂しいよー!』
夢子の高めのテンションと裏腹に私の気持ちはどん底まで下がっていた。
どうしよう…。さっき、風邪は治ったって言っちゃったから今更具合が悪いなんて言えないし。
どうやって、この誘いを断ればいいか私は必死で頭を働かせた。
『美桜?』
黙っている私を不自然に思ったのか、夢子が不思議そうな声を出す。
『えっ?あ、ごめん』
これ以上黙ってるのは変に思われる。
とはいえ、絶対に麗斗には会いたくない。
『もう!麗斗さんからも美桜が来るように言ってください』
夢子がそう言うと、少し間が空いて今一番聞きたくない人の声が聞こえてきた。