愛してるよ、何よりも

ドクン。



再び跳ね上がった心臓は道路に響いてしまいそうなくらい大きく波打った。



振り返っていないのに、私は相手が誰なのか認識できてしまった。



「なっ…なに?」


数メートル先にある電信柱を見つめながら返事した。怖くて後ろを振り向けない。



「送ってく」


変わらない少し低い声と一緒に足音が徐々に私の方に近づいてくる。


これ以上来ないで。来ないで、来ないで。私は心の中で声にならない言葉を必死に呟いた。



「いい。大丈夫」


首を横に振る。



「でも、夜道は危ないから…」



やだ、これ以上近づかないで!!



言えない言葉より先に身体が動いていた。




相手の言葉を最後まで聞き終わらずに、私はその場から全力疾走で駅へと急いだ。




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