愛してるよ、何よりも
衝突
程なくして麗斗の住むアパートに着いた。
「鍵開けるから、降ろすよ」
麗斗の言葉と伴に体が再びふわっと軽くなる。
ガチャっと鍵が開く音がして、麗斗が扉を開けると同時にふと我に返った。
一人暮らしの男の人の家に入るってどうなんだろう…?
普通に考えたらやっぱりおかしい。
「汚いけど、どうぞ」
そう進められても玄関から先に入ることができず立ち尽くしていた。
やっぱり色々おかしい。
相手はあの麗斗だ。
高校生の時の話だとはいえ、からかわれて傷つけられた人。
「どうした?」
私がなかなか家に入らないのを変に思ったのか、麗斗は不思議そうな顔をして振り向く。
「えっと…」
思わず目を逸らす。
どうしていいか分からない。
自慢にならないけど、女友達がいない私に当然男友達なんているわけない。
人の家に入ることだって初めてだ。
持っていた鞄をぎゅっと握りしめ、玄関先に並べられている靴を訳もなく見つめていた。