失恋ウェディング


 * * *


晴れて夫婦となった新郎新婦を、青空の下、ライスシャワーが出迎え祝福する。

周りから上がる「おめでとう!」の声々。

最高の笑顔で答える幸せな二人。

見ている私も、自然と笑顔になれた。


新婦の彼女と目が合って。彼女が嬉しそうに手を振るから、私は口をゆっくり大きく動かして「お・め・で・と・う」と伝えた。

すごく可愛いよ、とOKサインを。

すると、笑った彼女は横にいる彼の腕を引っ張り何か言っている。私と遠野君に気付いた彼は、眩しいほどの笑顔で手を挙げ合図を送ってきた。


「あーあ。デレデレですねトシヤ先輩。顔が緩みっぱなしじゃないですか。いつもはもう少しキリッとしてるのに……恥ずかしい」


遠野君が失礼な程の呆れ声を出すものだから、横腹をつついてやった。

ビクッと長身が伸びる。全くこの後輩は……。いちいち一言が余計だ。


 
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