人生の楽しい終わらせ方


「水に溶かせばまだ一気飲みできそうかな。もしくは毒かあ」
「毒性のあるものってことなら、身近にいくらでもあるよ」
「うーん……ニコチンとか?」
「推理小説かよ……煙草二十本くらい食べたら死ねると思うけど」
「二十本? 食べるの? むしゃむしゃと」
「煮出してもいける。味はいけない」
「苦いとかまずいとかはあんまり気にしてないけど……。植物毒ってどうなの?」
「植物ね……ベラドンナとトリカブトくらいは聞いたことない?」
「ああ、あるある。トリカブトだよねえ、毎年春になると誰か死ぬよね」
「植物毒なら飲みやすいと思うよ。フルーツと一緒にスムージーにでもしちゃえば」
「いいね、美味しく死ねそう。花は? キョウチクトウとかかわいくない?」
「あれまだ校庭に植えてる学校とかあるよね。火事にでもなったらどうすんだろ」
「え? やばいの」
「植えてある土も燃やした煙も有毒だよ。適当に折ってきてここで七輪で燃やしたら、一酸化炭素中毒かオレアンドリン中毒で死ねる」
「それいいじゃん。ピンクの花でベッドいっぱい埋め尽くして」
「一酸化炭素で顔色も良くなるし。あとは発見者が死なないことを祈ったら」
「え? あ、そっか、煙浴びたら死んじゃうじゃん」
「サエキさんが死ぬところ見てる俺も死ぬ」
「うわ、大犯罪者じゃないですか」

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