人生の楽しい終わらせ方
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携帯電話を特に意味なく触って、サエキはちらりと、カナタのことを思い浮かべた。
最近、といっても二週間ほどだが、彼からの連絡が途絶えている。
もともとそれほどまめにやりとりするような二人でもないが、なぜだが少し、気になっていた。
夕方から入っていたコンビニのアルバイトが終わって、夕食でも買って帰ろうかと、棚の間をうろついていた時のことだ。
なぜ今、急に、カナタのことなんか。
店内が寒いからと、長袖のTシャツの上に、チェック柄のパーカーを羽織ってきたからだろうか。
パーカーのポケットに手を突っ込んでから、別に、急にでもなんでもないことに気付いた。
誰にともなく、唇を尖らせる。
こっちからのメールを最後に連絡がなくなるなんて、気にしちゃって当たり前じゃんか、と、心の中で文句を言った。
あれから二週間、なんだかんだでほとんどずっと、カナタのことばかり考えていたのだ。
悔し紛れに、お菓子の棚の前に立った。
チョコレート菓子と塩味のスナック菓子で悩んで、両方カゴに入れようとしたところで、ふと頭を過る。
きっとカナタがいたら、「サエキさん、太るよ」なんて、生意気に言うのだろう。
あの無表情で、言ったあと、少しだけ笑って。
結局お菓子はどちらも棚に戻した。