君以外はいらない
チャリを走らせること10分。
なんとか学校には間に合った。
この高校に入学して以来、遅刻になりかけるなんてことは無かったのに。
玄関の下駄箱から上靴を出してローファーと履き替えた。
「ゆーくん、おはようございます」
隣で僕の大好きな彼女である森原千聖が教科書を抱えていた。
「ちぃ、教科書だけなんて持ってどうしたの?」
ちぃはクスッと笑って
「昨日の数学のこの問題を先生に質問しに行ってたんですよー」
ちぃは学年一位だし、可愛いし....なんせ言葉遣いが誰に対しても敬語でキレイだ。
「ちぃはやっぱり頑張り屋さんだね」
肩にかかるくらいのちぃの髪を僕はわしゃわしゃした。