私の彼氏は中国人留学生
しばらく放心していると、急に誰かに腕を引っ張られて抱き起こされる。



「だれ?あ......」



そこには、一番会いたかった人。
ずっと、ずっと会いたかった人。



「駐車場で寝てる、マナーワルイ」


「あなたにだけは言われたくないです」



ムッとして言い返してみたものの、確かにその通りだから強くも言い返せない。
って、そうじゃなくて。

これ、本物......?
いや本物なわけないよね。
きてくれるわけないもん。

そうか、これ夢だ。
それか幻覚か。

とうとう幻覚まで見えるようになっちゃったのか......。
お酒ってこわい。


幻覚の暁明は私を背負って歩き出す。
やけにリアルな感触の背中に強くしがみつく。

幻覚なら好きなようにしていいよね。
夢の中でくらいギュッてしても、いい?



「美月に話がアル」


「私も......。私も、暁明に会ったら話したいことがたくさんあるんだよ。

でもね、今すごく眠いから今度でもいい?」



夢の中の暁明と必死で話すけど、眠くて眠くてもう我慢できないんだ。

もったいない......。
夢から覚めたら、好きって、一緒にいたいって言えないのに。

けれど睡魔には勝てず、そのまま意識を失った。
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