私の彼氏は中国人留学生
「ゴメン......」



緊張感の抜けきった私とは正反対に、深刻そうにそう言う暁明。

暁明が謝るなんて......!
初めて謝られた気がする。


明日は槍がふるのか。
それともここにいるのは偽物......?

けれど、まじまじと目の前の暁明を見つめても、偽物には見えない。


そもそも謝られることなんてあったかな。
私が謝らなきゃいけないことはたくさんあるけど......。



「ケンちゃんから聞いたんだ、ゼンブ。
ホントはスグニ美月のところに行きたかったケド、解決してないのに行ったらダメって言われた。

それで、オカサンとオトサンと話してキタ」



ケンちゃん......。
そう言えば口止めしてなかった。
でも口止めしてたとしてたとしても、同じことかな。

私だけの味方はできないとか言ってたし、本当なら私がきちんと暁明に話をしなければいけなかったんだ。


私にも緊張感がようやく戻ってきたみたいで、急に雰囲気が重くなった気がする。

ここまできたら、もうごまかせない。



「そっか、私こそ何も言わないでごめんね。
お父さんとお母さんと話して、......どうだった?」



どうもこうも暁明の様子を見る限り、良い意味で解決したようには見えない。

私に最終宣告を突きつけにきたのかな。

もう別れてるのにわざわざそんなことしにくるとも考えにくいけど、あまり良い結果が考えられない......。


今さら逃げ出すわけにもいかず、まるで死刑宣告を待つかのような気持ちで、彼の言葉を待つ。
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