私の彼氏は中国人留学生
「それでこのまま諦めるの?
まだ好きなんじゃないの?」


「好きだけど......、仕方ないかなって」


「そう、なら仕方ないわね。
言っておくけど、美月が日本人じゃなくたって、彼の親には反対されてたと思うわよ」


「え......?」



別に大きな声を出すわけじゃないけど、急に冷たい口調になったお姉ちゃん。

お姉ちゃんのカレも私たちが話している内容は分からなくても、お姉ちゃんの声色が変わったことに気づいたようで何か言っている。

お姉ちゃんがカレに一言ささやくと、もうこちらを気にしなくなったけど。



「何も反論もしないで、簡単に引き下がるような程度の気持ちしかない女に、大切な息子を渡したくないって思ったんじゃない?」



何も反論しないことは、納得したことと同じだ、とお姉ちゃんは続ける。

それはそうかもしれないけど......、やみくもに反論すればいいってわけじゃない。

手の中にあるパンダをきゅっと握って、お姉ちゃんをにらみ返す。



「反論できるような材料がなかったの。
実際彼のご両親の気持ちも理解できるし、国のことは私では解決できない。

私たち若い世代は政治のことなんて関係ない、個人の気持ちが大事って飛び越えることができても、親世代はまだできない人もいるんだよ。

いくら綺麗事を言っても、まだ解決できないしがらみがあるの」
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