私の彼氏は中国人留学生
「コレ、美月が書いたデスカ?」


「もう!返して」



信じられないものを見るような目でソレを見ている暁明の手から、ノートを奪い取る。


私じゃないと言いたいところだったけど、私以外に書く人はいない。


水玉ピンクのノートには私が書いた恋愛小説が書いてある。


普通の恋愛小説ならともかく、実在の芸能人をモデルにした法的にもグレーゾーンの、いわゆる二次創作と呼ばれているものだ。

......しかも、相手は異性じゃなくて同性のメンバー同士の。


大学に入ってから、男性の歌手グループにはまっていて、始めは歌が好きだったんだけど。

いつのまに妄想までするようになったかは自分でも分からない。


その男性グループにハマるまでは、そもそも私は一般人だったんだ。

だってだって、彼らは男同士なのにいちゃいちゃしてて、妄想してくださいって言ってるようなものだったんだもん。

そう、私が腐女子になったのは彼らのせい......というのはさすがに言い過ぎだけど。



「まだゼンブ見てナイヨ」


「見なくていいから!」



全部見てないってことは、少しは読んだんだ。

彼氏に自作の二次小説見られるとか......。
この趣味だけは隠したかったのに。

腐女子になった経緯はともかく、あまり良く思わない人もいるだろうし。

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