先天性マイノリティ
「話しやすいって言われるでしょう?」
「言われるよ、でも友達は少ない。俺の求める面白いやつって案外いないんだよな」
…ああ、やっぱり。わかる。
わかってしまう。
なんだか「なんとなく」親近感が涌く。
「なんとなく」わくわくするような気持ちになる。
「なんとなく」新しいなにかがはじまりそうな予感が、したんだ。
「お兄さん、何年?」
「三年二組、ウエダコウノスケ。幸せに之に助けるって字で幸之助。だっさいだろ」
「古風な名前でいいじゃないですか。私なんて、メイですよ。命って書いて、メイ」
「神秘的でいいじゃん。すげー責任感が強い名前って気がする」
「はあ…そうでもないけど」
「なんとなく」の会話を続けて、推定十五分程度。
既にコウワールドに惹き込まれ、いつの間にか敬語をやめていた。
「もうひとり、面白そうなやつがいるんだよ。俺のお薦め」
コウが言った瞬間、扉が開く。
「ああ、いた」
彼は、片手にプリッツとチョココロネを持って現れた。
私とゼロジの初対面だった。
「出た、食い物大王」
「大王ってなんだよ」
「だっていつもなんか食ってるじゃん」
「いつもは食ってない。偶々だよ」
親しい幼馴染みのように見える二人が三日前に知り合ったばかりだと知って驚愕した。
どう見ても三日の関係ではない。
…二人に溶け込むような感覚の私も、どうかしていたけれど。