先天性マイノリティ
それからたくさん話をして、三人でいつも一緒にいた。
ゼロジも複雑な家庭環境にあることや、コウの物足りないという人生についての討論。
笑ってしまうような青くさ過ぎる話題も山のように打ち明け合った。
ゼロジと私に比べたらコウはとても恵まれていて、羨ましく思ったこともある。
…でも、コウのように真っ当なご両親が揃っている環境で、どうしてこんな変わり者が生まれたのだろうと疑問を持った。
些細な言葉のフォローや微量の気遣い、感情の細部に及ぶ汲み取りかたは、平坦な道を歩んで来た人には決して出来ない技巧だと私は思っている。
私やゼロジと同類の感受性を持つということは、彼にもなにか大きなトラウマ的過去があるのでは、と勘ぐってしまった。
──結局最期まで彼はなにも言わなかったし、謎多きまま旅立ってしまったけれど。
そのスマートさが悔しい。
それなりになんでもそつなくこなせるコウは自殺まで上手かったなんて、卑怯過ぎる。
せめて私とゼロジに知らせてから死ねよてめえ、と叱ってやりたい。
悔しい、悔しい、悔しい…哀しい。