先天性マイノリティ
(やっぱり私が一発殴り返しておけばよかった)
コウの友達だとしても、幾ら仲が良かったとしてもゼロジを傷つける者は私にとって全員悪だ。
メイは俺とゼロジの保護者だな、とコウに言われたことがあるけれど。
(守りたい人が一人減ったからね、前よりは楽になったよ。バーカ)
見上げた夜空に皮肉ってみる。
人は死んだら星になるというのは、生きている人間が考えた寓話でしかないだろう。
…それでも、本当だったらいいと思う。
ゼロジは終始俯いていて表情は見えなかった。
けたたましく唸るサイレンの音を遠くに聴いた。
月の綺麗な夜だった。