先天性マイノリティ
(…もし俺が昔みたいな外見だったら馬鹿にして笑うんだろうな、この女)
軽い男を演じるのは苦痛だ。
ここ数年、恋人といえば専ら二次元世界の住人であり、脳内の引き出しには好きなアニメや漫画のことしか詰まっていない。
今回、何故俺がレディースフロアを希望したかというと、洋服を選ぶ女の子の姿を見るのが好きだから。
それだけだ。
女の子というのはとても可愛い生き物だと思う。
だけど俺にとって「見ていたい」だけであって、触りたい、キスをしたい、セックスをしたいという衝動には直結しない。
音楽を聴くように、絵画を眺めるように、間接的に見ているのが好きなのだ。
俺の属性はバイセクシャルであり、恋愛をするのは男でも女でも構わないという傾向にある。
実際、過去には男の恋人もいた。
見た目で判断をせず、精神的に深く理解してくれる人間を捜している。
俺には根憑いた虐めのコンプレックスがあって、生涯消えない傷を隠しながら生きていくのだという背徳が絶えずにある。
水漏れをしている配水管のように、真綿を絞めるように断続的な切なさを伴う、形容することを戸惑うような心理状態。
見た目をどんなに繕っても、誤魔化しても…俺の根底の人格は今でも虐められっ子のままだ。