先天性マイノリティ



…私は今でも、ゼロジが好きだ。


それでも、私の深く抉れた傷口を癒してくれたシュウちゃんの存在に心からの感謝をして、愛おしく感じている。


年々温かみを増していく真実の気持ち。


良い意味でアンヴルを変えることが出来たのは、彼が私を救って、包み込むように大切にしてくれたから。


アパートの階段を降りて歩道を進み、最寄り駅を目指す。


寄り添って歩く度に、共に信号待ちで立ち停まる毎に、私たちはいつもひとつの生命になる。


繋いだ手を柔らかく握り返して、握り返されて。


太陽が首を傾げて、はにかむように笑った気配がする。





「あのご夫婦、いつも仲良しね」


「そうね。お子さんはいないらしいけど…羨ましいわ」




そんな近所の人たちの声を背中越しに聴いて、密やかに、静かな日々を送る。








──私は、今日も生きている。








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