先天性マイノリティ








白い閃光が綺麗だ。



点滅をする残響が眩しい。



視界のフェードアウト。



柔らかい衝撃に射たれる。



いのちが震える音を聴く。



最期の泪が首筋を伝って逝く。







目の前、"愛しい影"に向かって、手を延ばす。





影が振り向く直前に、俺は絶命する。









──あんなに死にたいと願っていたくせに、瞼がおちる寸前、もう二度と生まれたくない、とは思わなかった。








人間の正体は、業突く張りだ。







…少なくとも、俺の場合は。













(───本当は、お前と、生きたかった)




(幸せになって)



(自殺をしたって、"自分"からは逃げられない)









…ああ、もう一度、時間を戻せたらお前を救うことが出来たのに──。














【完】





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