大好きな君
こつこつこつ
とん とん とん
歩幅が違うのがもろわかる上履きの音が一定の間隔で鳴るもんだから
落ち着いてきて少しだけ、歌を歌いたくなった
「ねえ、なんで泣いたの?」
「――っ違うの、そうじゃないの」
また誤解されたのかと思っておもいっきり言ったのに自分が一番ビックリして
また緊張が走った
「うん、大丈夫だから
言って」
さっきのとは違って氷じゃなくって
頑張って優しい声を出しているような声が私を撫でるから
「違うの、違うの
声が、君の声が冷たくって
悲しくて悲しくて私のこときらうような拒絶してるみたいに
刺さってっ
―っ刺さって、
苦しくなって」
自分でも何言ってんだかってなる言葉の羅列に
七瀬碧は心配そうに私をみつめてた