大好きな君
こつ こつ こっ
上履きの音が突然消えて
またあの空白の廊下が戻ったような気がして
少し不安になったから顔をあげる
と同時に
七瀬碧が今まで私が言った言葉を返すように語りかけてた
「ごめんね
そういう意図で言ったのには間違えないし、実際話しかけてた女の一人が泣いたとき
うぜぇって思ったんだけど
突き飛ばされてた実波さんが泣いたのを見たら
実波さんが泣くとは思わなかったんだよ
悪かった」
七瀬碧の声は伝わりやすいからもしかしたら廊下にも響いてるんじゃ
って検討違いなこと考えてるんだけど
今度はなんでか
湊と話してるときみたいな幸せが来て
「さっき、実波さんが言ってたのは
よく、わからないんだけど
悲しかったのは俺だったのかな?
って気分」
幸せで暖かくて
こんな気持ち
「ありがとう」
はじめてだよ