大好きな君
ガラガラガラッ
「間に合ったーっ」
あのあと打ち合わせしたみたいにチャイムが鳴り響いて
火照った頬を落ちつかせようとトイレに行って
やっと教室に戻ってきたときには始業チャイムギリギリだったから
走って教室まできた
今日一番の運動だと、思う
「さくらーっ」
「湊っ!」
ふわって笑いながら手を降って湊が呼んだ
「次、英語だよ
早くしないとまた怒られるよー」
笑いながらあの忌々しき記憶を蘇るようなことを言うから怖い
意識してないからなおさらたちが悪い気がする
「わーってるよー」
「ちなみに59ページ、訳」
「え?!初耳!!!」
「昨日森ちゃんが言ってたでしょー」
もう堪えられないみたいなふうに湊が笑うから悔しいけど何も言えなかった